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障害者虐待防止法とは

「虐待」によって障害者の権利や尊厳が脅かされることを防ぐための法律です。
虐待の禁止、予防、早期発見、虐待を受けた障害者の保護や自立の支援、養護者の支援などを行ない、障害者の権利擁護を目的としています。
正式な名称は「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」で、平成24年10月1日より施行されています。

対象となる障害者

「障害者」とは、身体・知的・精神障害その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活・社会生活に相当な制限を受ける状態にある方です。

(障害者基本法2条1号)
障害者手帳を取得していない人、発達障害の人、18歳未満の人も対象になります。

虐待とは

障害者虐待防止法では虐待を3つに分けています。

家庭 障害者施設 職場
養護者による虐待 障害者福祉施設従事者等による虐待 使用者による虐待
生活の世話や金銭の管理などをしている家族や親族、同居する人による虐待 障害者の福祉施設や福祉サービス事業所の職員による虐待 障害者を雇用する事業主などによる虐待

障害者虐待の類型

虐待にあたる行為は、殴る・蹴る・身体を縛りつけるといった「身体的虐待」だけではありません。

性的な行為を強要したり、本人の前でわいせつな言葉を発したりする「性的虐待」。 言葉で脅したり、侮辱したりする「心理的虐待」。

食事を与えない、お風呂に入れないなど世話を放棄する「ネグレクト(放棄・放置)」。

勝手に障害者の財産を処分したり、日常生活に必要な金銭を渡さなかったりする「経済的虐待」も、虐待行為にあたります。

障害者虐待の例
区分 内容 具体例
身体的虐待 暴力や体罰によって身体に傷やあざ、痛みを与えること
  • 平手打ちする
  • 殴る
  • 蹴る
  • 壁に叩きつける
  • つねる
  • 無理やり食べ物や飲み物を口に入れる
  • やけど
  • 打撲させる
  • 身体拘束(柱や椅子やベッドに縛り付ける、医療的必要性に基づかない投薬によって動きを抑制する、ミトンやつなぎ服を着せる、部屋に閉じ込める、施設側の管理の都合で睡眠薬を服用させるなど)
性的虐待 性的な行為を強要すること わいせつな言葉を発すること
  • 性交
  • 性器への接触
  • 性的行為を強要する
  • 裸にする
  • キスする
  • 本人の前でわいせつな言葉を発する、又は会話する ・わいせつな映像を見せる
心理的虐待 脅し、侮辱などの言葉を浴びせること
仲間はずれや無視、嫌がらせなどによって精神的に苦痛を与えること
  • 「バカ」「あほ」など障害者を侮辱する言葉を浴びせる
  • 怒鳴る
  • ののしる
  • 悪口を言う
  • 仲間に入れない
  • 子ども扱いする
  • 人格をおとしめるような扱いをする
  • 話しかけているのに意図的に無視する
ネグレクト
(放棄・放置)
食事や排泄、入浴、洗濯など身辺の世話や介助をしないこと
必要な福祉サービスや医療や教育を受けさせないこと
  • 食事や水分を十分に与えない
  • 食事の著しい偏りによって栄養状態が悪化している
  • あまり入浴させない
  • 汚れた服を着させ続ける
  • 排泄の介助をしない
  • 髪や爪が伸び放題
  • 室内の掃除をしない
  • ごみを放置したままにしてあるなど劣悪な住環境の中で生活させる
  • 病気やけがをしても受診させない
  • 学校に行かせない
  • 必要な福祉サービスを受けさせない・制限する
  • 同居人による身体的虐待や性的虐待、心理的虐待を放置する
経済的虐待 本人の同意なしに(あるいはだますなどして)財産や年金、賃金を使ったり勝手に運用すること
本人が希望する金銭の使用を理由なく制限すること
  • 年金や賃金を渡さない
  • 本人の同意なしに財産や預貯金を処分・運用する
  • 日常生活に必要な金銭を渡さない・使わせない
  • 本人の同意なしに年金等を管理して渡さない

虐待防止策

この法律に基づき、全国の市町村や都道府県に、障害者に対する虐待の防止や対応の窓口となる「市町村障害者虐待防止センター」や「都道府県障害者権利擁護センター」が設置されています。

相談や通報、届出をした方の秘密は守られます。

市町村障害者虐待防止センター

障害者本人や養護者、周囲の人からの障害者虐待に関する疑問や悩みなど、様々な相談を受け付けます。また、家庭や職場、障害者福祉施設などの様々な場で、障害者虐待を発見した人からの通報や、虐待を受けている障害者本人からの届出を電話や窓口などで受け付けます。

都道府県障害者権利擁護センター

市町村が行う障害者虐待対応についての連絡調整や情報提供、助言などを行います。また、障害者が働く職場で発生した虐待については、直接、通報や届出などを受け付けます。

市町村

虐待に関する相談や通報、届出の他、関係機関と連携し以下のような取り組みを行います。

事実確認および立ち入り調査

通報・届出に基づき、市町村の障害者福祉担当部局が訪問調査を行い、障害者虐待の事実確認を行います。障害者の生命や身体に重大な危険が生じているおそれがある場合は、立入調査を行います。

一時保護や支援

養護者による虐待で生命や身体に重大な危険が生じているおそれがある場合、市町村の障害者福祉担当部局が養護者から一時的に分離し、安心して生活を送ることができるようになるまで、障害者福祉施設で保護したり、必要な支援を行います。
また、障害者の権利を擁護するために成年後見制度を活用したり、地域社会で自立して生活するために必要な障害福祉サービスの利用を支援したりして、障害者の自立を支援します。

養護者の負担の軽減

家庭の中で発生する虐待は、養護者が障害についての知識が不足していたり、介護疲など、重い負担が虐待の要因となっていることがあります。
このような場合、市町村の障害者福祉担当部局が、養護者の負担軽減のための相談、指導及び助言などを行います。
例えば、福祉施設の短期入所や通所サービス、ホームヘルパー、移動支援事業などの利用につなげたり、家族会への参加やカウンセリングの利用を勧めるなどにより、負担の軽減を図ります。

都道府県

障害者福祉施設で発生した虐待については、市町村障害者虐待防止センターで相談や通報、届出を受け、市町村と都道府県が連携して事実確認を行います。
虐待が確認された場合は、市町村と都道府県が関係法令に基づき、虐待が発生した施設や事業所に対して、立入調査や改善命令、勧告、認可取消などの権限を行使し、障害者の保護や再発防止を図ります。
職場で発生した障害者虐待については、市町村障害者虐待防止センター、都道府県障害者権利擁護センターで通報や届出を受け付けます。
市町村・都道府県が連携して事実確認や安全確認を行ない、使用者による虐待は速やかに都道府県労働局に報告し、労働局は都道府県と連携し労働基準法などの関係法律による権限を行使します。

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